労働安全衛生法の分野では、トラック運送業は道路貨物運送業に分類されます。
詳しくは運送業の許可の種類で解説しています。
貨物自動車運送事業法の「輸送の安全」は外向きの規定であるのに対し労働安全衛生法の「労働安全」は内向きの規定と表現される場合があります。
第一条 この法律は、労働基準法と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。
第三条 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。
運送業は、一定の規模以上の営業所は、第一種衛生管理者、安全管理者の選任が必要です。
※常時使用する労働者には、正社員の他、パートタイマー、アルバイト、派遣労働者等、名称の如何にかかわらず、常態としてその事業場で使用される労働者が含まれます。
10人未満 | 10人以上50人未満 | 50人以上 | 100人以上 | |
安全・衛生責任者の選任 | 安全衛生推進者 |
第一種衛生管理者 |
統括安全衛生責任者 |
|
安全衛生委員会 | 努力義務 |
義務 |
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産業医の選任 | 任意 | 義務 | ||
一般健康診断 | 義務 年1回 |
義務 年1回 |
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特定健康診断 | 深夜時間帯などの勤務 6カ月に1回 | |||
ストレスチェック | 努力義務 | 義務 | ||
長時間労働者の医師による面接指導 | 平均80時間は申出があった場合、1カ月100時間は義務 | |||
雇入れ時等の教育 | 義務 |
安全衛生推進者等の選任は、選任すべき事由が発生した日から 14 日以内です。
事業場に専属の者から選任する場合は、次のいずれかに該当することが必要です。
①学歴に応じ、下表の安全衛生の実務経験を有する者
学 歴 | 安全衛生の実務経験 |
---|---|
大学・高等専門学校を卒業 | 1年以上 |
高等学校等を卒業 | 3年以上 |
上記以外の学歴 | 5年以上 |
②「安全衛生推進者等養成講習」を修了した者
③その他、厚生労働省労働基準局長が同等以上の能力を有すると認める者
(昭和 63 年 12 月 9 日付け基発第 748 号等で基準が示されています。)
事業場に専属でない者から選任する場合には、安全衛生に関する広範な知識及び豊富な経験を有すると認められる、次のいずれかに該当することが必要です。
①労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント
② 安全管理者又は衛生管理者となる資格を有する者で、資格取得後 5 年以上、安全衛生の実務経験を有する者
* 但し、一人の非専属の安全衛生推進者等が担当し得る事業場の数は、次の各基準を目安です。
イ 担当する事業場数は、おおむね10以内であること。
ロ 各事業場の作業場等を週一回巡視することができること。
運送業は、第一種衛生管理者(国家資格)です。
主に次の業務を行うこととなっています。
①健康に異常のある者の発見及び処置
②作業環境の衛生上の調査
③作業条件、施設等の衛生上の改善
④労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
⑤衛生教育、健康相談その他労働者の健康保持に必要な事項
⑥労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び移動に関する統計の作成
⑦衛生日誌の記載等職務上の記録の整備
①衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡回し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。
②事業者は、衛生管理者に対し、衛生に関する措置をなし得る権限を 与えなければなりません。
運送業は、安全管理者の選任が必要です。
① 『安全管理者選任時講習』を修了し、かつ下表の産業安全の実務に従事した経験を有する者
大学・高等専門学校を卒業 |
理 科 系 統 |
2年以上 |
理 科 系 統 以 外 | 4年以上 | |
高等学校等を卒業 |
理 科 系 統 |
4年以上 |
理 科 系 統 以 外 | 6年以上 | |
上 記 以 外 の 学 歴 | 7年以上 | |
その他 | 職業能力開発促進法に基づく職業訓練等の修了者で、告示に定 める産業安全の実務経験を有する者 |
② 労働安全コンサルタント
③ 平成 18 年 10 月 1 日時点において安全管理者として選任
された経験が2年以上である者(経過措置)
主に次の業務を行うこととなっています。
①建設物、設備、作業場所又は作業方法に危険がある場合における応急措置又は適当な防止措置設備新設時、新生産方式採用時等における安全面からの検討を含む。
②安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期的な点検及び整備
③作業の安全についての教育及び訓練
④発生した災害原因の調査及び対策の検討
⑤消防及び避難の訓練
⑥作業主任者その他安全に関する補助者の監督
⑦安全に関する資料の作成、収集及び重要事項の記録
⑧その事業の労働者が行う作業が 他 の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における安全に関し、必要な措置など
①安全管理者は 、 作業場等を巡視し 、 設備 、 作業方法等に危険のおそれがあるときは 、直ちに、 その危険を防止するため必要な措置を講じなければなりません 。
②事業者は 、 安全管理者に対し 、 安全に関する措置をなし得る権限を与えなければなりません。
陸運業に従事する労働者の荷役作業での労働災害を防止するために、陸運事業者、荷主、配送先、元請事業者などが取り組むべき事項を具体的に示したものです。
陸運事業者は、このガイドラインを指針として、労災防止対策の積極的な推進に努めることが求められます。
また、「運送の都度、荷の種類、荷役場所や施設・設備などが異なる場合が多い」「荷主先での荷役作業については、労働者に直接、指示や支援をしにくい」といった荷役作業の特徴を踏まえ、荷主等(荷主、配送先、元請け
事業者など)にも荷役作業の安全対策について協力を求めています。
幣所は荷役作業の安全対策ガイドライン講習受講済みです。
このガイドラインは、労働安全衛生関係法令、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第7号。以下「改善基準告示」という。)等とあいまって、
交通労働災害の防止を図ることを目的しています。
幣所は交通労働災害防止担当管理者教育受講済みです。
労働安全衛生規則が改正され「昇降設備の設置」「保護帽の着用」「テールゲートリフターの操作に係る特別教育」が義務付けられました。
特別教育については令和 6 年 2 月から、それ以外の規定は令和 5 年 10 月から施行され施行です。
これまで最大積載量 5トン以上の貨物自動車を対象としておりましたが、新たに最大積載量 2トン以上5トン未満の貨物自動車において、荷役作業時の昇降設備の設置及び保護帽の着用が義務づけらました。(一部例外あり)
荷を積み卸す作業を行うときに、昇降設備の設置義務の対象となる貨物自動車について、最大積載量が 5 トン以上のものに加え、2 トン以上 5 トン未満のものが追加されました。
「昇降設備」には、踏み台等の可搬式のもののほか、貨物自動車に設置されている昇降用のステップ等が含まれます。なお、昇降用ステップは、できるだけ乗降グリップ等による三点支持等により安全に昇降できる形式のものとする。
荷を積み卸す作業を行うときに、労働者に保護帽を着用させる義務の対象となる貨物自動車について、最大積載量が 5 トン以上のものに加え、以下のものが追加されました。
①最大積載量が 2 トン以上 5 トン未満の貨物自動車であって、荷台の側面が構造上開放されているもの又は構造上開閉できるもの(平ボディ車、ウイング車等)。
②最大積載量が 2 トン以上 5 トン未満の貨物自動車であって、テールゲートリフターが設置されているもの(テールゲートリフターを使用せずに荷を積み卸す作業を行う等の場合は適用されません)。
保護帽は、型式検定に合格した「墜落時保護用」のものを使用する必要があります
テールゲートリフターの操作者に対し、学科教育 4 時間、実技教育 2 時間の安全衛生に係る特別の教育を行うことが必要になります。
荷を積み卸す作業におけるテールゲートリフターの操作※の業務を行う労働者に対し、以下の科目、時間について特別教育を実施する必要があります。
また、特別教育を行ったときは、事業者において受講者、科目等の記録を作成し、3 年間保存する必要があります。
科目 | 範囲 | 時間 | |
---|---|---|---|
学科教育 | テールゲートリフターに関する知識 |
・テールゲートリフターの種類、構造及び取扱い方法 |
1.5時間 |
テールゲートリフターによる |
・荷の種類及び取扱い方法 |
2時間 | |
関係法令 | ・労働安全衛生法令中の関係条項 | 0.5時間 | |
実技教育 | ・テールゲートリフターの操作の方法 | 2時間 |
幣所ではテールゲートリフター講師として特別教育実施可能です。
運転席から離れてテールゲートリフターを操作する場合において、原動機の停止義務が除外されます。
なお、その他の逸走防止措置は引き続き必要です。
走行のための運転位置とテールゲートリフター等の操作位置が異なる貨物自動車を運転する場合において、テールゲートリフター等を操作し、又は操作しようとしている場合は、原動機の停止義務の適用が除外されます。
なお、ブレーキを確実にかける等の貨物自動車の逸走防止措置については、引き続き義務付けられることに留意。また、逸走防止の観点から、可能な範囲で原動機も停止する。
いわゆるカゴ車、ロールボックスパレット作業時に下敷きになったり、足をひかれる、手をはさまれるといった労働災害が多く発生しています。
労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス
「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」は、インターネットを利用し、企業の皆様が所轄の労働基準監督署に行う申請や届出の支援をするサービスです。
届出する様式(帳票)を作成・印刷したり、画面から入力した情報をe-Govを介して直接電子申請することができます。
また、入力した情報はお使いの端末に保存できますので、作業の一時中断や、再申請などの場合に再利用が可能です。
・労働者死傷病報告
・定期健康診断結果報告書
・心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書
・総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告
・じん肺健康管理実施状況報告
・有機溶剤等健康診断結果報告書
・有害な業務に係る歯科健康診断結果報告
「労働災害防止計画」とは、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。
厚生労働省は、中小事業者なども含め、事業場の規模、雇用形態や年齢等によらず、どのような働き方においても、労働者の安全と健康が確保されていることを前提として、多様な形態で働く一人ひとりが潜在力を十分に発揮できる社会を実現に向け、国、事業者、労働者等の関係者が重点的に取り組むべき事項を定めた 2023年 4 月~ 2028年 3 月までの 5 年間を計画期間とする「第 14 次労働災害防止計画」を2023年3月8日に策定し、3月27日に公示されています。(厚生労働省 労働災害防止計画について)
2023 年度から2027年度までの5か年を計画期間
(ア)労働者の協力を得て、事業者が取り組むこと
(イ)(ア)の達成に向けて国等が取り組むこと
職場における腰痛予防対策指針の改訂(平成25年6月/厚生労働省労働基準局)
陸上貨物運送事業向け腰痛予防動画サイト(厚生労働省YouTubeチャンネル)
熱中症の予防については、第14次労働災害防止計画において、下記のとおり目標が設定されています。
アウトプット指標:熱中症災害防止のために暑さ指数を把握し活用している事業場の割合を2023年と比較して2027年までに増加させる。
アウトカム指標:増加が見込まれる熱中症による死亡者数の増加率※を第13次労働災害防止計画期間と比較して減少させる。
年 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
---|---|---|---|---|---|
職場における |
829 | 959 | 561 | 827 | 1,045 |
上記のうち、死亡者数(人) | 25 | 22 | 20 | 30 | 28 |
職場における熱中症予防対策マニュアル(令和3年度版)
パンフレット「職場の熱中症予防対策は万全ですか?
愛知県、岐阜県、三重県、静岡県。名古屋市、北名古屋市、清須市、豊山町、稲沢市、春日井市、小牧市、一宮市、江南市、犬山市、大口町、扶桑町、岩倉市、津島市、愛西市、蟹江町、弥富市、瀬戸市、日進市、三好市の事務所近郊の尾張から、知多市、半田市、大府市、常滑市の知多方面、豊田市、岡崎市、安城市、刈谷市、豊明市、西尾市、知立市の西三河から豊橋市、豊川市、田原市の東三河まで愛知県全域、岐阜県(岐阜市、大垣市、美濃加茂市、各務原市、可児市、多治見市、土岐市、瑞浪市、恵那市、中津川市、加茂郡など西濃、東濃)、三重県(桑名市、鈴鹿市、四日市市)の東海三県。浜松市、湖西市。その他可能な限り中部運輸局管轄を対応させていただきます。
関東運輸局、近畿運輸局、広島運輸局管内の対応実績有り。
全国:北海道、青森、岩手、宮城、福島、秋田、山形、茨城、栃木、群馬、埼玉、東京、千葉、神奈川、長野、山梨、静岡、愛知、岐阜、新潟、富山、石川、福井、滋賀、京都、大阪、奈良、三重、和歌山、兵庫、岡山、広島、山口、島根、鳥取、香川、愛媛、高知、徳島、福岡、大分、宮崎、鹿児島、熊本、佐賀、長崎、沖縄