運送業の改正標準運送約款

運送業・物流専門 行政書士
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運送業の標準運送約款

運送営業

 

運送約款ってどうすれば良いのでしょうか?

 

まず、約款とは
大量の同種取引を迅速・効率的に行う等のために作成された定型的な取引条項です。
具体的には、電気、ガスの供給契約、保険約款、運送約款等、多様な取引で活用されています。
また、令和2年の民法改正で、約款に関する規定が新設されました。

運送営業についても平成31年4月1に商法制定以来約120年ぶりに改正がありました。

商法の用語の定義

  • 運送とは、物品または旅客を場所的に移動させることであり、運送人とは、陸上運送、海上運送または航空運送の引受けをすることを業とする者をいう。と定義され、運送契約は、運送という仕事の完成を目的とする請負契約の一種です。
  • 物品運送契約は、運送人が荷送人からある物品を受取りこれを運送して荷受人に引き渡すことを約し、荷受人がその結果に対して運送賃を支払うことを約するものである。と定義しています。

運送営業に関わる主な用語は以下の内容です。

運送人の権利・荷送人の義務

  • 送り状交付請求権
  • 危険物に関する通知義務
  • 運送賃請求権
  • 費用償還請求権
  • 留置権
  • 先取特権
  • 運送人の供託・競売権

運送人の義務

  • 荷送人の指図に従う義務
  • 運送人の損害賠償責任
  • 運送人の債務不履行責任

 損害賠償額の特則
 高価品の特則
 運送人の責任の特別消滅事由
 短期消滅事項等
 運送人の不法行為責任
 免責の特約(約款)

 

荷受人と運送人の関係

運送人の被用者の不法行為責任

複合運送人の責任

相次運送の損害賠償の連帯性

 

なお、商法の改正に伴い運送標準約款等も変更になっています。

運送約款を作成又は変更する場合には国土交通大臣の認可を受けなければいれません。

貨物自動車運送事業法

 

約款の認可を受けるには、以下の事項が明確にされていなければなりません。

  • 荷主の正当な利益を害するおそれがないこと
  • 運賃及び料金の収受
  • 一般貨物運送事業者の責任に関する事項
  • 特別の場合を除いて、運賃と運送役務以外の役務及び特別に生じる費用に係る料金とを区別して収受

ただし、国土交通大臣が定める標準運送約款を使用する場合は認可を受けたものとみなす。としています。

運送約款記載事項

  1. 特別積合せ貨物運送をするかどうか
  2. 貨物自動車利用運送を行うかどうか
  3. 運賃及び料金の収受又は払戻しに関する事項
  4. 運送の引受けに関する事項
  5. 積込み及び取卸しに関する事項
  6. 受取、引渡し及び保管に関する事項
  7. 損害賠償その他責任に関する事項
  8. その他運送約款の内容として必要な事項

H29年11月4日から標準貨物自動車運送約款の改正

H29年11月4日から標準貨物自動車運送約款の改正

運賃・料金の収受ルールが変わりました。

 

運賃と料金の区別の明確化

運賃が運送の対価であることをより明確化されました。

待機時間料の新たな規程

荷主都合による荷待ち時間の対価を待機時間料としています。

附帯業務の内容をより明確化

附帯作業の内容に「ラベル貼り等」を追加。

令和6年6月1日から標準貨物自動車運送約款の改正

物流の持続的な成長を確保するため、現行の商慣行を前提とすることなく、これを是正し、トラック運送事業者が、健全な事業運営のために必要な運賃を収受できる環境整備等を図る観点から、「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」の提言(令和5年12 月15 日公表)を踏まえ、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83 号)第10 条第3項等に基づき国土交通大臣が公示している以下の標準運送約款について、標準貨物自動車運送約款等の一部を改正する告示(令和6年国土交通省告示第210 号)により改正されました。
なお、改正された標準運送約款は、令和6年6月1日より施行されます。

 

【改正対象の約款】
・標準貨物自動車運送約款(平成2年運輸省告示第575 号。以下「標準運送約款」)
・標準宅配便運送約款(平成2年運輸省告示第576 号。以下「宅配便約款」)
・標準引越運送約款(平成2年運輸省告示第577 号。以下「引越約款」)
・標準貨物軽自動車運送約款(平成15 年国土交通省告示第171 号。以下「軽運送約款」)
・標準貨物軽自動車引越運送約款(平成15 年国土交通省告示第172 号。以下「軽引越約款」)
・標準霊きゅう運送約款(平成18 年国土交通省告示第1047 号。以下「霊きゅう約款」)
・標準貨物自動車特定信書便運送約款(平成27 年国土交通省告示第1163 号。以下「標準信書便約款」)
・標準貨物軽自動車特定信書便運送約款(平成28 年国土交通省告示第247 号。以下「軽信書便約款」)

 

 

1.荷待ち・荷役作業等の運送以外のサービスの内容の明確化等
2.運賃・料金、附帯業務等を記載した書面の交付
3.利用運送を行う場合における実運送事業者の商号・名称等の荷送人への通知等
4.中止手数料の金額等の見直し
5.運賃・料金等の店頭掲示事項のオンライン化

 

改正標準運送約款

 

標準貨物自動車運送約款(最終改正:R6国交省告示第210号)

 

標準宅配便運送約款(最終改正:R6国交省告示第210号)

 

標準引越運送約款(最終改正:R6国交省告示第210号)

 

標準貨物軽自動車運送約款(最終改正:R6国交省告示第210号)

 

○標準貨物軽自動車引越運送約款(最終改正:R6国交省告示第210号)

 

○標準霊きゅう運送約款(最終改正:R6国交省告示第210号)

 

○標準貨物自動車特定信書便運送約款(最終改正:R6国交省告示第210号)

 

○標準貨物軽自動車特定信書便運送約款(最終改正:R6国交省告示第210号)

標準貨物自動車運送約款等の一部改正内容

荷待ち・荷役作業等の運送以外のサービスの内容の明確化等

改正前の「標準運送約款」「軽運送約款」では、適正な運賃・料金の収受を目的として、待機時間、附帯業務等が具体的に規定されていた一方、「積込み」「取卸し」等の業務は、「第2章 運送業務等」において規定されていたため、運送業務と荷待ち・荷役作業等の運送以外の業務の区切りが不明確であった。このため、「積込み」「取卸し」等の運送以外の業務については、「第2章 運送業務等」から分離し、第3章を「積込み又は取卸し等」に改めた上で、当該章において規定。 また、これらの運送以外の業務が契約にないものであった場合、当該業務の対価を負担する主体についても不明確であったことから、トラック運送事業者が運送以外の業務を引き受けた場合、契約にないものを含め、対価を収受する旨を規定。
〔関係条項〕標準運送約款(第61条)、軽運送約款(第59条)

 

運賃・料金、附帯業務等を記載した書面の交付

改正前の「標準運送約款」「軽運送約款」では、荷送人による運送の申込みやトラック運送事業者による運送の引受けについては、明確な規定がなかった。このため、運送を申込む荷送人、運送を引受けるトラック運送事業者は、それぞれ運賃・料金、附帯業務等を記載した書面(電磁的方法を含む。)である運送申込書、運送引受書を相互に交付する旨を規定。 なお、運送申込書、運送引受書は別添の様式を例示とする。
〔関係条項〕標準運送約款(第6条及び第7条)、軽運送約款(第6条及び第7条)

 

【別添】運送申込書/運送引受書pdf

 

利用運送を行う場合における実運送事業者の商号・名称等の荷送人への通知等

改正前の「標準運送約款」「軽運送約款」では、利用運送を行う場合がある旨は規定されていたが、利用運送が行われた場合でも荷送人が実運送事業者を把握することは困難であった。このため、利用運送を行う元請運送事業者は、当該運送の全部又は一部について運送を行う実運送事業者の商号・名称等を荷送人に通知する旨を規定。 また、利用運送に係る費用は「利用運送手数料」として収受する旨を規定。
〔関係条項〕標準運送約款(第17条)、軽運送約款(第17条)

 

中止手数料の金額等の見直し

改正前の「標準運送約款」「軽運送約款」では、荷送人が、貨物の積込みの行われるべきであった日の前日までに運送の中止をしたときは、中止手数料を請求しないこととされていたが、実勢に応じて、当該中止手数料の金額等を見直す。
具体的には、
・運送引受書に記載した集貨予定日の前々日に運送の中止をしたときは、当該運送引受書に記載した運賃
・料金等の20パーセント以内 ・運送引受書に記載した集貨予定日の前日に運送の中止をしたときは、当該運送引受書に記載した運賃・料金等の30パーセント以内
・運送引受書に記載した集貨予定日の当日に運送の中止をしたときは、当該運送引受書に記載した運賃
・料金等の50パーセント以内 をそれぞれ収受できる。
〔関係条項〕標準運送約款(第38条)、軽運送約款(第38条)

 

運賃・料金等の店頭掲示事項のオンライン化

改正前の「標準運送約款」等では、「受付日時」「個人を対象とした運賃・料金等」「保険料率等」については、店頭に掲示することとされていたが、これらの事項を既に自社のウェブサイト等に掲載しているトラック運送事業者も多く存在する。 また、特定の場所において書面で掲示されていた事項について、インターネットによる閲覧等を可能とし、利用者利便の向上を図る観点から、デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律(令和5年法律第63号)により貨物自動車運送事業法が改正され、令和6年4月1日より、常時使用する従業員の数が20人を超えるトラック運送事業者については、原則として、運賃・料金等を店頭での掲示に加え、自社のウェブサイトにも掲載しなければならないこととされている。
 こうした状況を踏まえ、運賃・料金等の店頭掲示事項について、ウェブサイトに掲載する場合がある旨を規定。
〔関係条項〕標準運送約款(第3条、第32条及び第64条)、宅配便約款(第2条及び第8条)、引越約款(第2条及び第18条)、軽運送約款(第3条、第32条及び第62 条)、軽引越約款(第2条及び第 18 条)、霊きゅう約款(第3条及び第 16条)、標準信書便約款(第2条、第4条、第7条、第13条及び第21条)、軽信書便約款(第2条、第4条、第7条、第13条及び第21条)

 

 

運送約款の掲示について

「デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律」により、運賃料金及び運送約款の掲示方法が変わりました。

 

 

貨物自動車運送事業法(運賃及び料金等の掲示等)

第十一条 一般貨物自動車運送事業者は、運賃及び料金(個人(事業として又は事業のために運送契約の当事者となる場合におけるものを除く。)を対象とするものに限る。)、運送約款その他国土交通省令で定める事項について、主たる事務所その他の営業所において公衆に見やすいように掲示するとともに、その事業の規模が著しく小さい場合その他の国土交通省令で定める場合を除き、国土交通省令で定めるところにより、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。)により公衆の閲覧に供しなければならない。

 

貨物自動車運送事業施行規則(公衆の閲覧の方法)

第十三条 法第十一条の規定による公衆の閲覧は、一般貨物自動車運送事業者のウェブサイトへの掲載により行うものとする。
(公衆の閲覧に供することを要しない場合)
第十三条の二 法第十一条に規定する国土交通省令で定める場合は、次の各号のいずれかに該当する場合とする。
一 一般貨物自動車運送事業に常時使用する従業員の数が二十人以下である場合
二 一般貨物自動車運送事業者が自ら管理するウェブサイトを有していない場合

 

貨物自動車運送事業法以外にも多くの法律が一括改正となっています。
貨物利用運送事業法、倉庫業法も対象です。

対応エリア

運送業許可 対応エリア

愛知県、岐阜県、三重県、静岡県。名古屋市、北名古屋市、清須市、豊山町、稲沢市、春日井市、小牧市、一宮市、江南市、犬山市、大口町、扶桑町、岩倉市、津島市、愛西市、蟹江町、弥富市、瀬戸市、日進市、三好市の事務所近郊の尾張から、知多市、半田市、大府市、常滑市の知多方面、豊田市岡崎市、安城市、刈谷市、豊明市、西尾市、知立市の西三河から豊橋市、豊川市、田原市の東三河まで愛知県全域、岐阜県(岐阜市、大垣市、美濃加茂市、各務原市、可児市、多治見市、土岐市、瑞浪市、恵那市、中津川市、加茂郡など西濃、東濃)、三重県(桑名市、鈴鹿市、四日市市)の東海三県。浜松市、湖西市。その他可能な限り中部運輸局管轄を対応させていただきます。

関東運輸局、近畿運輸局、広島運輸局管内の対応実績有り。

 

コンサルティング 対応エリア

全国:北海道、青森、岩手、宮城、福島、秋田、山形、茨城、栃木、群馬、埼玉、東京、千葉、神奈川、長野、山梨、静岡、愛知、岐阜、新潟、富山、石川、福井、滋賀、京都、大阪、奈良、三重、和歌山、兵庫、岡山、広島、山口、島根、鳥取、香川、愛媛、高知、徳島、福岡、大分、宮崎、鹿児島、熊本、佐賀、長崎、沖縄