運送契約

トラック運送事業者は取引契約の書面化がされていないケースが多い。
その結果、後から運送代金の減額や現地での約束にない荷待ちや附帯業務があったり、運転者の労働時間の超過の原因にもなっています。
そうした現状から以前から契約書面化の推進が行われてきました。
貨物自動車安全規則にも事業者は荷主との連携により運転者の過労運転、過積載による運送、その他の輸送の安全を阻害する行為を防ぐよう適正な取引に勤めなければならないとしています。

貨物自動車運送事業輸送安全規則
(適正な取引の確保)
第九条の四 一般貨物自動車運送事業者等は、運送条件が明確でない運送の引受け、運送の直前若しくは開始以降の運送条件の変更、荷主の都合による集貨地点等における待機又は運送契約によらない附帯業務の実施に起因する運転者の過労運転又は過積載による運送その他の輸送の安全を阻害する行為を防止するため、荷主と密接に連絡し、及び協力して、適正な取引の確保に努めなければならない。

 

契約は、運送委託者と運送受託者の意思表示の合致で成立します。
つまり、「運んでください」「運びます」の承諾の意思表示のみで書面が無くとも契約は成立します。
この申込と承諾を書面化したものが契約書になります。
契約にあたっては、運送事業者が一方的に不利にならないよう十分な協議が必要となります。

 

 

 

契約書面による効果

  1. 事前に輸送条件を確認することで、輸送形態や発着時間等が明確化され、過労運転のコンプライアンス違反を防止する事が出来る。
  2. 運送条件を記録することで、事故等が起こった際に事後的に締約内容を確認することが出来る。
  3. 契約にない附帯作業の防止等、現場でのトラブルが回避出来る。
  4. 事前に積込・取卸料や附帯作業料等を明確にすることで適正な運賃・料金を収受することが出来る。

 

 

書面はFAXなどに加え、電子メール等の電磁記録も可能です。

必要記載事項

  1. 貨物の品名、重量、個数等
  2. 運送日時(積込み開始日時・場所・取卸し終了日時・場所)
  3. 運送の扱種別
  4. 運賃、燃料サーチャージ、料金(積込料及び取卸料、待機時間料、附帯業務料等)、有料道路利用料、立替金その他の費用
  5. 荷送人及び荷受人の連絡先等
  6. 運送状の作成年月日等
  7. 高価品については、貨物の種類及び価額
  8. 積込み又は取卸し作業の有無
  9. 附帯作業の委託
  10. 運送保険加入の委託の有無
  11. 支払方法、支払期日

 

場合によっては、独占禁止法や物流特殊指定、下請法による書面も必要になります。

継続契約とスポット契約

継続契約は、反復継続して運送役務取引がなされることを前提とした契約。
スポット契約は、単発な運送役務取引で、反復継続してなされないことを前提とした契約。

 

契約書のパターン
継続契約 スポット契約
基本契約書 発注書(運送状)

覚書
※運賃・料金、附帯作業等

発注書(運送状)
運送引受書 運送引受書

下請法との記載事項比較

 

運送引受書の必要記載事項 下請法第3条の必要記載事項
運送委託者、受託者氏名、連絡先等 親事業者及び下請事業者の名称(番号、記号等による記載も可)
委託日、受託日 役務提供委託した日
運送日時(積込み開始日時・場所・取卸し終了日時・場所) 役務が提供される期日又は期間
下請事業者の給付を受領する場所
運送品の概要・車種、台数、運転者の人数 下請事業者の給付の内容
附帯業務の内容
運賃、燃料サーチャージ、消費税 下請代金の「額
有料道路利用料、附帯作業料、車両留置料 その他
支払方法、支払期日 下請け代金の支払期日
手形を交付する場合は、手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期(一括支払方法電子記録債権等は別途)

運送契約と印紙税

運送契約

運送とは、当事者の一方(運送人)が、物品又は旅客の場所的移動を約し、相手(依頼人)が、これに報酬(運送賃)を支払うことをいいます。
運送契約は、通常、運送という仕事の完成を目的とし、その結果に対して報酬が支払われるため、請負契約に属することになります。

 

印紙税法施行令第26条、印紙税法基本通達別表第一 第2号文書の1

 

貨物運送と印紙税

貨物運送に関して作成される文書には、「送り状」、「運送状」、「発送伝票」、「運送明細書」、「貨物引受書」、「貨物受取書」、「運賃請求書」、「運賃受取書」など各種のものがありますが、これらに対する印紙税の取扱いについて。国税庁HPより

貨物運送業者が荷送人から貨物の運送を引き受けた際に荷送人に交付する文書で、その文書に運送物品の種類、数量、運賃、発地、着地等運送契約の成立の事実を証する事実が具体的に記載され、貨物運送引受けの証としているものは、その文書の標題のいかんにかかわらず、第1号の4文書(運送に関する契約書)として印紙税が課税されることになります。

貨物の運送に関して作成される文書に対する印紙税の取扱い
文書の使用方法など 印紙税の取扱い 説明
1.荷送人の控えとして使用するもの 課税されません。(注) 運送に関する契約書として課税されるものがあります。 荷送人の控え又は事務整理のための文書であり、課税されません。しかし、これに運送人が運送引受の証として署名又は記名押印したり引受印の押印などをしたりするものは、運送に関する契約書に該当し、2と同様に課税されます。
2.荷送人に交付するもの(6又は7に該当するものを除きます。) 運送に関する契約書として課税されます。(注) 運送品の受取書として課税されないものがあります。 運送引受の証として交付するものであり、運送に関する契約書として課税されます。 ただし、荷送人の住所、氏名又は名称、運送品の品名、数量及び荷姿程度の記載内容で、文書の表題その他からみて、運送品の受領事実を証することが明らかなものは、運送品の受取書として課税されません。
3.運送人の控又は事務整理のためのものとして使用するもの。 課税されません。 運送人の控又は事務整理のための文書であり、課税されません。
4.運送品とともに送付するもの。 課税されません。 送り状であり、課税されません。
5.荷受人に交付するもの(6又は7に該当するものを除きます。) 課税されません。 送り状又は運送明細の連絡文書であり、課税されません。
6.運送賃の請求書として使用するもの。 課税されません。(注) 売上代金に係る金銭の受取書として課税されるものがあります。 運送賃の請求のための文書であり、課税されません。ただし、これに運送賃の受領事実を証するものは、売上代金に係る金銭の受取書に該当し、7と同様に課税されます。
7.運送賃の受取書として使用するもの。 売上代金に係る金銭の受取書として課税されます。 運送賃の受領事実を証するものであり、売上代金に係る金銭の受取書として課税されます。

 

 

引越荷物を運ぶことを、貨物自動車を持っている人に頼んで、簡単な念書をつくりました。このようなものでも運送契約ということになるのでしょうか。

運送とは、当事者の一方(運送人)が、物品又は人の場所的な移動を約し、相手(依頼人)がこれに報酬(運送賃)を支払うことを約する契約ですから、それが営業として行われるものだけでなく、たまたま行われるものでも運送となります。

 

 したがって、簡単な文書であっても運送の内容について記載され、これを証明するためのものであれば第1号の4文書(運送に関する契約書)に該当することになります。

 

運送に関する契約書の印紙税

 運送に関する契約書には、傭船契約書を含み、乗車券、乗船券、航空券及び送り状は含まれません。
(例) 運送契約書、貨物運送引受書など

 

記載された契約金額が

 

10万円以下のもの 200円
10万円を超え 50万円以下のもの 400円
50万円を超え 100万円以下 〃 1千円
100万円を超え 500万円以下 〃 2千円
500万円を超え1千万円以下 〃 1万円
1千万円を超え5千万円以下 〃 2万円
5千万円を超え 1億円以下 〃 6万円
1億円を超え 5億円以下 〃 10万円
5億円を超え 10億円以下 〃 20万円
10億円を超え 50億円以下 〃 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円

 

業務委託契約書 4千円

継続的取引の基本となる契約書。
契約期間が3か月以内で、かつ、更新の定めのないものは除きます。
利用運送事業の届出等に必要な契約書

対応エリア

運送業許可 対応エリア

愛知県、岐阜県、三重県、静岡県。名古屋市、北名古屋市、清須市、豊山町、稲沢市、春日井市、小牧市、一宮市、江南市、犬山市、大口町、扶桑町、岩倉市、津島市、愛西市、蟹江町、弥富市、瀬戸市、日進市、三好市の事務所近郊の尾張から、知多市、半田市、大府市、常滑市の知多方面、豊田市岡崎市、安城市、刈谷市、豊明市、西尾市、知立市の西三河から豊橋市、豊川市、田原市の東三河まで愛知県全域、岐阜県(岐阜市、大垣市、美濃加茂市、各務原市、可児市、多治見市、土岐市、瑞浪市、恵那市、中津川市、加茂郡など西濃、東濃)、三重県(桑名市、鈴鹿市、四日市市)の東海三県。浜松市、湖西市。その他可能な限り中部運輸局管轄を対応させていただきます。

関東運輸局、近畿運輸局、広島運輸局管内の対応実績有り。

 

コンサルティング 対応エリア

全国:北海道、青森、岩手、宮城、福島、秋田、山形、茨城、栃木、群馬、埼玉、東京、千葉、神奈川、長野、山梨、静岡、愛知、岐阜、新潟、富山、石川、福井、滋賀、京都、大阪、奈良、三重、和歌山、兵庫、岡山、広島、山口、島根、鳥取、香川、愛媛、高知、徳島、福岡、大分、宮崎、鹿児島、熊本、佐賀、長崎、沖縄