営業倉庫には種類があります。これを倉庫類型と呼びます。その種類によって保管できる貨物がことなりますのでこのページでは営業倉庫の種類を解説しています。営業形態による倉庫の種類まず、倉庫を簡単に説明すると『倉庫とは』、物を保管する建物で、その物を保管する機能を有する施設の総称です。その倉庫にも種類があり、倉庫業法の登録が必要になるのが営業倉庫です。営業形態による違いの簡単なまとめ自家用倉庫メーカー、卸売業者が自らの物品を保管する倉庫、政府関連倉庫(食糧庁)営業倉庫倉庫業法による登録を受けた倉庫業者が、他人から寄託を受けた物品を預かり保管する倉庫上屋(うわや)・保管庫運送途上における貨物の一時保管・荷捌きのための倉庫農業倉庫農業倉庫業法による認可を受けた農業協同組合などが営む倉庫協同組合倉庫事業協同組合、漁業協同組合が組合員の物品を保管する倉庫(中小企業等協同組合法、森林法他)営業倉庫と運送途上の一時保管倉庫の違いで質問が多くあります。運送契約とは、荷送人から荷受人に預かった荷物を運送する仕事(事実行為)の完成を目的とする請負契約。運賃請求。ただし、在庫調整など行先不明な場合は除く。その他、坪貸しによる賃貸借契約もありますが、倉庫業は寄託による契約です。詳しくは、トランクルールの項目で。営業倉庫に保管できる物品の種類倉庫に保管できる物品は、倉庫業法施行規則により分類されています。営業倉庫倉庫の登録をする際の要件として保管する貨物の種類により倉庫分類が異なりますので、何を保管するか、どの分類に該当するか把握する必要があります。倉庫業法施行規則 別表貨物の種類第1類物品第2類~第8類物品以外のもの第2類物品麦、でん粉、ふすま、飼料、塩、野菜類、果実類、水産物の乾品及び塩蔵品、皮革、肥料、鉄製品その他の金物製品、セメント、石こう、白墨、わら工品、石綿及び石綿製品第3類物品板ガラス、ガラス管、ガラス器、陶磁器、タイル、ほうろう引容器、木炭、パテ、貝がら、海綿、農業用機械(湿気又は気温の変化により変質し難いもの)第4類物品地金、銑鉄、鉄材、鉛管、鉛板、銅板、ケーブル、セメント製品、鉱物及び土石、自動車及び車両、大型機械、木材、ドラムかんに入れた物品、空コンテナ・空びん類、れんが・かわら類、がい子・がい管類、土管類、くづ鉄・くづガラス・古タイヤ類等(野積で保管することが可能な物品)第5類物品原木など水面保管が可能なもの第6類物品容器に入れていない粉状、液状のもの第7類物品危険品(消防法、高圧ガス保安法等)第8類物品農畜水産物の生鮮品及び凍結品等の加工品その他(10℃以下で保管するもの)上記の保管する物品が決まれば、倉庫業登録の種類が決まります。営業倉庫の種類と保管貨物1類倉庫2類倉庫3類倉庫野積倉庫水面倉庫貯蔵槽倉庫危険品倉庫冷蔵倉庫1類物品〇××××〇ばらに限る××2類物品〇〇×××〇ばらに限る××3類物品〇危険物を除く〇〇×××××4類物品〇危険物を除く〇〇〇××××5類物品〇〇〇〇〇×××6類物品〇危険物を除く〇×××〇危険物を除く××7類物品××××××〇×8類物品×××××××〇1類倉庫は、保管できる物品の多いハイグレードな倉庫です。危険品も少量であれば1類倉庫で保管が可能。営業倉庫登録の種類営業倉庫の種類(大分類)大きく分けると、普通倉庫、水面倉庫、冷蔵倉庫となり、一般消費者から寄託を受けて保管するトランクルームに分類されます。なお、トランクルームの分類は1類倉庫です。普通倉庫1類倉庫、2類倉庫、3類倉庫、野積倉庫、貯蔵槽倉庫、危険物倉庫水面倉庫港湾などで見られるように、原木などを水面保管する施設で、通常、水面貯木場と呼ばれる。冷蔵倉庫摂氏10度以下の低温で生鮮食品や凍結品を貯蔵する倉庫トランクルーム消費者から寄託を受けて保管する倉庫倉庫の種類(詳細)倉庫業登録の種類は、1類倉庫、2類倉庫、3類倉庫、野積倉庫、水面倉庫、貯蔵倉庫、危険品倉庫、冷蔵倉庫となり、それぞれ施設設備の要件が決められています。1類倉庫一般雑貨など普通貨物を保管する倉庫 (7~8類物品以外の保管ができる)防火、防水、防湿、照明など多くの規定が定められている2類倉庫穀物、肥料、陶磁器などを保管する倉庫1類倉庫から防火性能を除いた要件を具備3類倉庫ガラス類、地金、鋼材などの荒荷を保管する倉庫1類及び2類より、はるかに緩やか野積倉庫雨風の影響をほとんど受けない原材料等の貨物を野積みして保管する倉庫(4~5類物品が保管できる)周囲を塀、柵、鉄条網などで防護されており、消火、照明などの設備が必要水面倉庫原木等を水面で保管する倉庫(5類物品が保管できる)貯蔵槽倉庫タンク、サイロなどにより液体及びばら穀物などを保管する倉庫(6類物品、1~2類物品のバラが保管できる)防火、防水、照明などの設備の要件を具備危険品倉庫消防法、高圧ガス保安法にる危険品を保管する倉庫(7類物品及び1類物品の危険品を保管する倉庫)防火、防水、照明に加え消防法、高圧ガス保安法、石油コンビナート等災害防止法等の法令の適合を要する冷蔵倉庫食肉、水産物、冷凍食品など10℃以下で保管することが適切な貨物を保管する倉庫(8類品が保管できる)※冷凍運転を止めて、他の物品を保管する行為はできない。更に、保管温度によって等級ありC級・・・+10℃~ー20℃未満F級・・・ー20℃以下~ー50℃以下1、2類倉庫3類倉庫野積倉庫水面倉庫貯蔵倉庫危険品倉庫冷蔵冷凍倉庫テント倉庫(被膜張倉庫)も条件に適合すれば1類倉庫として登録可能です。参考:営業倉庫概要 令和2年倉庫の種類事業者数所管面積(千㎡)普通倉庫1~3類倉庫5,19060,734野積倉庫1874,256貯蔵倉庫11110,660危険品倉庫建屋242639タンク4910,090冷蔵倉庫1,23235,006水面倉庫6325上記の表のとおり、倉庫の種類によって保管できる物品の種類が異なります。物流施設としての倉庫種類従来は、たんに倉庫と呼ばれていた物流施設。今や人、車、搬送機などが複雑に出入りする「ロジスティクスの司令塔」として位置付けられ、従来のコストセンターからプロフィットセンターとして見直されています。保管機能に加え流通加工を行う拠点(工場化)も増え、ECの急速な伸長により多機能拠点へと進化しています。また、流通業倉庫は、機能により、DC(保管)、TC(通過)、SC(ラストワンマイル)、FLC(フルフィルメント)などに区分されます。今後は、マテハンの自動化、倉庫のDXにより一層進化した倉庫になっていきます。物流不動産としての倉庫倉庫不動産には、大きく分けて、自社建設、賃借倉庫があります。賃貸倉庫では以下のように呼ばれることが多い。BTS型特定のテナントの要望に応じてオーダーメイドで建設され、賃貸される物流施設。BTSは、英語のBuild To Suitの略語。マルチテナント型複数のテナントに対して賃貸する物流施設で、建設後にテナントを募集する場合が多く、テナントの入れ替えにも対応できるように、汎用性のある施設として建設される。物流施設の動向倉庫不動産市場は、物流施設の老朽化や多機能大型施設が求められ、BCP対策の観点からも盛況です。従来の様な運送業者、流通業者が自ら建設するのではなく、不動産業者等による賃借が大幅に増加しています。中部圏物流施設の周辺環境も大きく変化し、住居地域との混在による周辺道路への渋滞など影響が発生しています。地区計画等により流通施設の移転も行われています。物流総合効率化法物流総合効率化法により、分散した物流施設を集約し効率化を図る場合は様々な支援が行われています。第7次総合物流施策大綱においても取組みの一つになっています。トランクルーム倉庫業法により国土交通大臣の登録を受けた事業者による一定の性能を有すること等の基準に適合した倉庫で非商品(家財等)の保管を行う施設です。そして、トランクルームサービスとは、倉庫業法により国土交通大臣の登録を受けた事業者が、国土交通大臣の認定を受けたトランクルームに家庭の家財道具や衣類、事務所の書類や磁気テープなどの販売の対象としない「非商品」をその所有者との寄託契約に基づき一定の期間保管するサービスとなります。倉庫業者と賃貸業者の行う行うトランクルームの違い倉庫業者と賃貸業者の行う行うトランクルームの違いは主に以下の表のとおりです。日本標準産業分類の倉庫業日本標準産業分類は、行政機関が行う統計調査の結果を産業別に表示するため、集計作業において、統計を作成する行政機関が利用する技術的基準です。 個々の事業所の産業を決定し、個別の行政上の処分に利用するためのものではありません。倉庫業の大分類はH、中分類は47です。小分類対象備考470管理,補助的経済活動を行う事業所471倉庫業(冷蔵倉庫業を除く)普通倉庫業(野積倉庫,サイロ倉庫,タンク倉庫,危険品倉庫,トランクルームを含む)× 貸倉庫業(691)コインロッカー業(794)472冷蔵倉庫業自家用の倉庫は主事業所の産業の補助的経済活動に分類される。自動車の駐車のための場所を提供する事業所は「693 駐車場業」に分類される。一時的に手荷物,自転車等の物品を預かる事業所は「794 物品預り業」に分類される。484 こん包業主として運送のために物品の荷造り若しくはこん包を引受ける事業所及び海上輸送のために,設備された機械により各種包装材料を加工し,こん包容器を組立てて工業製品の外装を行う事業所。485 運輸施設提供業鉄道,道路,橋りょう,トンネル,自動車ターミナル,荷扱場,荷役桟橋,けい(繋)船岸壁,上屋,ふ頭,飛行場などの運輸施設を提供することを主たる業務とする事業所。流通業務施設の種類流通業務施設(都市計画法)施設名主な例示貨物取扱施設トラックターミナル、鉄道貨物駅、その他貨物の積卸しのための施設卸売市場倉庫施設倉庫、野積場、貯蔵槽、貯木場荷さばき施設上屋、荷さばき場事務所・店舗道路貨物運送業、貨物運送取扱業、信書送達業、倉庫業、卸売業の用に供する事務所又は店舗流通加工工場切断;金属板、金属線、紙、板ガラス、カーテン、床敷物その他これらに類する繊維製品の切断の事業の用に供する工場。引割;木材の引割りの事業の用に供する工場。組立;家具・建具・自転車の部品を組み立てることにより製品・半製品とする事業の用に供する工場。包装等;包装又はこん包の事業の用に供する工場。その他;商品・包装・こん包に商品名等を表示する又は表示物を付ける(ラベル貼り付け等)事業の用に供する工場工場製氷、冷凍の事業の用に供する工場駐車場・車庫施設に附帯する自動車駐車場・車庫自動車関連施設自動車に直接燃料を供給するための施設、自動車整備工場・修理工場保税施設保税地域輸出入手続きを適正かつ効率的に行い、また、外国貨物を輸入手続き未済のまま、蔵置又は加工・製造、展示等をすることができる特定の場所。一般的には一定区画の土地又は建造物です。水面や船舶、車両のように定着性のないものは保税地域とすることはできません。しかし、土地に囲まれ、または他と全く区別された水面、例えば囲棚やえん堤等によって囲まれた貯木場の水面、又は土地に定着しているさん橋その他の工作物のように定着性のあるものは保管施設とすることができます。保管地域の種類保税地域は、税関行政上の必要に基づいて設置されるものです。財務大臣の指定(指定保税地域)、税関長の許可(指定保税地域外の保税地域)が必要です。保税地域は、その機能に応じて5種類に区分されます。地底保税地域保税蔵置場保税工場保税展示場総合保税地域種類設置目的主な機能保税地域の設置の様態指定保税地域通関手続の簡易・迅速な処理荷捌き、一時蔵置(1月)財務大臣の指定保税蔵置場通関手続の簡易・迅速な処理商取引の利便性荷捌き、一時蔵置(3月)長期蔵置(2年)税関長の許可保税工場加工貿易の振興加工、製造(混合)同上保税展示場貿易の振興文化の交流展示、使用同上総合保税地域輸入促進地域整備輸入品流通円滑化荷捌き、一時蔵置(3月)長期蔵置(2年)加工、製造(混合)、展示、使用同上